8年間にわたるBiSHでの活動を終え、ソロとしての道を歩み始めたアイナ・ジ・エンド。彼女は今、新しい環境の中で自分自身を見つめ直しながら、新たな挑戦に向かっている。
過去を振り返り、新たな道へ
「BiSHでの活動を通じて得たものは計り知れません。その経験があったからこそ、私はどんなに迷っても、最終的に自分の原点に戻れると信じています」とアイナは語る。
ソロ活動において、彼女の考え方やアプローチも変化したという。「BiSHではグループ全体のことを考えながら動いていました。でも、今は自分の責任のもと自由に行動できる。その分、不安や孤独もありますが、それでも挑戦し続けることに価値があると思います」と前向きな姿勢を見せた。
映画『キリエのうた』への出演
そんな彼女に訪れた新たな挑戦が、映画『キリエのうた』への出演だった。「最初にオファーを受けたときは、本当に驚きました。まさか自分が映画に出るなんて夢にも思っていなかったので、ドッキリかと思ったほどです」と振り返る。
この映画は、岩井俊二監督が手がける“音楽映画”で、歌うことでしか自分の思いを表現できない路上ミュージシャン・キリエの13年間の物語を描いている。「脚本を読んだとき、自分とはかけ離れた役だったらどうしようという不安がありました。でも『歌しか居場所がない』という部分に共感し、少し安心しました」と、役への想いを語った。
初めての演技と岩井俊二監督の世界観
初めての本格的な演技に挑んだアイナは、岩井監督の独特な演出に驚きと感動を覚えた。「監督は細かい指示を出すのではなく、自由に表現することを求めました。撮影中に『カットがかからない』こともあり、即興で演技を続ける時間が長かったのですが、それがダンスに通じる感覚で、とても自然に演じることができました」と話す。
また、共演した広瀬すずの演技に強い影響を受けた。「すずちゃんはカメラが回ると、まるで別人のように変わるんです。その演技の集中力とオーラに圧倒されました。彼女の芝居を間近で見ながら、『これが演じるということなんだ』と実感しました」と語る。
芝居、ダンス、歌のつながり
演技を通じて、彼女は新たな発見をした。「ダンスと演技は全く別のものだと思っていました。でも、撮影を進めるうちに、芝居、ダンス、歌はすべて深くつながっていると感じるようになったんです」と、新たな表現の可能性を見出した。
映画の撮影では、広瀬すずとの共演シーンも多く、特に印象的だったのが雪原でのシーン。「ワンカット目の撮影で、広い空間の中、スタッフもほとんどいない状態でアイナちゃんの歌を聞いたのは、とても贅沢な瞬間でした」と広瀬すずも回顧している。
アイナ・ジ・エンドは、BiSHとしての活動を経て、今、新たな世界へと歩み始めている。歌手としてだけでなく、女優としても新たな表現を追求し続ける彼女の今後の活躍に期待が高まる。