ロイターの調査によると、日本の家計消費は14か月ぶりに前年同月比で増加する見込みです。ただし、この控えめな成長は消費者部門の持続的な弱さを浮き彫りにする可能性があります。
4月の家計消費は前年同月比で0.6%増加したと、17人のエコノミストを対象にしたロイターの調査は示しています。3月の1.2%減少からの回復です。これは2023年2月以来の初めての増加となります。
季節調整済みの月次ベースでは、4月の家計消費は0.2%増加し、前月の1.2%の増加から減速しましたが、3か月連続の増加を示しています。家計消費データは6月7日午前8時30分(GMT6日23時30分)に発表予定です。
経済専門家の見解
「基礎的な物価上昇を考慮すると、消費が悪化のブレーキをかける兆候は見られません」と、農林中金総合研究所のチーフエコノミストである南武氏は述べています。「年間賃金交渉の結果、賃金は5%以上引き上げられましたが、家計はまだ財布のひもを緩めておらず、賃上げが消費の増加につながっていません。4月の消費データは消費の低迷を示しています。」
他のエコノミストも同様の見解を持っています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券のエコノミスト、佐藤大介氏は、「日本経済は未だにデフレから完全に脱却しておらず、消費者の心理は慎重です」と述べています。「家計が積極的に消費を増やすには、持続的な賃金上昇と安定した物価が必要です。」
民間消費の重要性
民間消費の弱さは、持続的な経済成長と堅実な賃金上昇、持続可能なインフレを伴う成長を目指す政策立案者にとって懸念の一つです。これらは金融政策の正常化の前提条件です。消費者が支出を増やすことは、企業の利益増加や投資拡大を促し、経済全体の活性化につながります。
日本銀行の金融政策
日本銀行(BOJ)は3月に2007年以来初めて金利を引き上げ、超緩和的な金融政策からの転換を示しました。投資家はBOJがさらに金利を引き上げる時期について手掛かりを求めています。しかし、エコノミストたちは、日本銀行が早急に追加の金利引き上げを行う可能性は低いと見ています。
「インフレ率が目標の2%に安定して達するまでは、BOJは慎重な姿勢を保つでしょう」と、みずほ証券のシニアエコノミストである田中真一氏は述べています。「さらに、急激な金利引き上げは、経済に対するショックを引き起こす可能性があるため、慎重なアプローチが求められます。」
円安の影響
日本経済は第1四半期に年率2%縮小し、急激な円安がコストを押し上げ、消費者が支出を削減することを余儀なくされました。円安は輸出企業にとっては利益をもたらしますが、輸入品の価格上昇を引き起こし、消費者の購買力を低下させます。
エコノミストたちは、円安が続く限り、消費者の支出が抑制される可能性があると警告しています。「円安の影響で、エネルギーや食料品の価格が上昇しており、家計の負担が増えています」と、野村総合研究所のエコノミストである鈴木健氏は述べています。「このため、消費者は慎重な支出を続けるでしょう。」
今後の見通し
政府は家計消費の回復を目指し、様々な施策を講じています。例えば、消費税の引き下げや家計支援策が検討されています。また、企業には賃金引き上げの要請が続いており、持続的な賃上げが消費を押し上げることが期待されています。
「政府と企業が協力して、消費者の購買力を向上させるための取り組みを進めることが重要です」と、経済産業省の担当者は述べています。「消費が回復すれば、経済全体の成長が加速し、持続可能な経済成長が実現するでしょう。」