米キング・アーサー・ベイキングが提案する2026年の挑戦:手間をかける価値がある「層状ピザ」と、食後の罪悪感を消す高タンパクスイーツ

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新年が幕を開けると、アメリカのベイキング愛好家や家庭料理人たちの視線は、老舗小麦粉メーカー「キング・アーサー・ベイキング・カンパニー」が発表する「Recipe of the Year(今年のレシピ)」に注がれます。2024年のしっとりとしたチョコチップクッキー、2025年の気泡をたっぷり含んだフォカッチャに続き、同社が2026年の主役に選んだのは「ピザ」でした。

それも単なるピザではありません。「フレーキー・パフ・クラスト・ピザ(Flaky Puff Crust Pizza)」と名付けられたその一品は、ラミネート生地(折り込み生地)を使用している点が最大の特徴です。バターを層状に折り込むことで、サクサクとした食感と芳醇な風味が生まれるといいます。すでに数百件ものレビューが寄せられており、「折り込み作業の満足感に加え、ガーリックバジルオイルが味を格上げしている」と絶賛する声がある一方で、「手間の割に見合わない」との意見も見受けられます。しかし、あるレビュアーは「9日間で3回も焼くほど価値がある」と反論しており、評価は真っ二つです。

昨今は「日本のチーズケーキ風ヨーグルト」のような手軽なトレンドも話題ですが、私はあえて自分の製パン技術を試すような挑戦的なレシピを探していました。そこで、この話題のピザ作りに挑んでみることにしたのです。

冷凍バターが決め手の生地作り

キング・アーサー流のピザ作りは、他の折り込み生地と同様に「冷凍バター」の準備から始まります。レシピに従い、大さじ4杯分のバターをすりおろし、30分間冷凍庫で冷やし固めました。

生地のベースとなる粉類は、中力粉2と1/2カップ、インスタントドライイースト小さじ2と1/4、塩小さじ1と1/4、そして砂糖小さじ1/2をボウルで混ぜ合わせます。別の容器で36℃から43℃程度のぬるま湯3/4カップとエキストラバージンオリーブオイル大さじ1を合わせ、これを粉類に加えて生地をまとめます。軽く打ち粉をした台の上で2分ほどこねた後、室温で30分休ませるのが第一段階です。

層を生み出す「折り込み」の工程

生地を休ませた後、再び打ち粉をした台に移し、約25×33センチの長方形に伸ばします。ここからが勝負所です。手早く作業を進めながら、冷凍しておいたすりおろしバターの大半を生地の表面に散らします(大さじ1程度は後で使うために残しておきます)。バターが馴染むよう軽く手で押さえたら、生地の左3分の1を中心に向かって折り、右3分の1をその上にかぶせる「三つ折り」を行います。

さらに残りのバターを散らして軽く押さえ、今度は上下の方向で三つ折りにします。これにより厚さ2.5センチほどの長方形ができあがります。生地が縮んで抵抗を感じるようになるまで大きく伸ばし、天板をかぶせて15分ほど休ませることで、層の形成を安定させます。

焼き上げと仕上げのオイル

オーブンを230℃に予熱し、天板にオーブンシートを敷いて準備を整えます。休ませた生地を天板いっぱいに広げ、気泡があれば潰し、さらに15分間休ませます。その間にトッピングの準備です。ピザソース2/3カップ、粉チーズ1/4カップ、シュレッドモッツァレラチーズ8オンス(約225g)、角切りモッツァレラ4オンス(約115g)を用意しました。

生地にこれらの具材をのせ、15分から17分ほど焼き上げます。焼いている間に、このピザの味を決定づける「ガーリックバジルオイル」を作ります。オリーブオイル1/4カップに、みじん切りのバジル大さじ2強、レモン汁小さじ1、すりおろしニンニク1/2片、塩と赤唐辛子フレークをひとつまみずつ混ぜ合わせれば完成です。

焼き上がったピザを一口食べた瞬間、その仕上がりに驚かされました。クロワッサンのような軽やかな薄い層というよりは、アメリカンビスケットを割ったときのような、しっかりとした層が感じられます。断面にははっきりと層が確認でき、ラミネートが成功したことを証明していました。最初から最後まで約2時間を要する工程ですが、その労力に見合うだけの味であり、今後もリピートしたいと思わせる完成度でした。

バランスをとるための「高タンパク」な相棒

重厚なピザを堪能した後は、甘いものが欲しくなるものですが、栄養バランスも気になるところです。そこで、ピザのパートナーとして最適なのが「高タンパク・クッキー生地バイツ(High-Protein Cookie Dough Bites)」です。これは通常のクッキー生地よりも簡単に作れる上、冷蔵庫に常備しておけば、急な空腹や甘いものへの欲求をヘルシーに満たしてくれます。

このレシピはカスタマイズが容易ですが、唯一省略できない重要な工程があります。それは「小麦粉の加熱処理」です。生で食べても安全なように、必ず電子レンジで加熱殺菌を行う必要があります。

作り方はシンプルです。まず、耐熱ボウルに中力粉1/3カップ(約40g)を入れ、電子レンジで15秒ずつ加熱し、その都度かき混ぜます。中心温度が約71℃になるまで、合計45秒から60秒ほど加熱します。

次に大きなボウルで、ブラウンシュガー1/4カップ(約53g)、お好みのナッツバター大さじ3(ピーナッツバターやアーモンドバターなど)、溶かしバター大さじ2、バニラエッセンス小さじ1を混ぜ合わせます。そこに先ほど加熱処理した小麦粉、プロテインパウダー1/2カップ(バニラ味またはプレーン)、牛乳大さじ1、塩小さじ1/4を加えて生地状になるまで混ぜ、最後にミニチョコチップ1/4カップを加えます。

大さじ1.5杯分ずつすくってボール状に丸め、クッキングシートを敷いたバットに並べて冷蔵庫で30分以上冷やせば完成です。密閉容器に入れれば冷蔵で1週間ほど保存可能です。手間暇かけた絶品ピザと、手軽で罪悪感のない高タンパクスイーツ。この2つがあれば、2026年の食卓はより豊かで楽しいものになるでしょう。