日本初のオープンRAN対応共有5G無線機器、JTowerが2025年度に通信各社と接続試験へ

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日本の通信インフラ企業JTowerは、国内初となるオープンRAN(無線アクセスネットワーク)に対応したSub6バンド用共有5G無線機器の開発を発表した。この新たな無線ユニットは、4つの主要携帯キャリアすべてで利用可能なSub6帯域に対応しており、柔軟なマルチベンダー環境を実現する。

従来の設備がアンテナなどの一部コンポーネントのみを共有していたのに対し、JTowerの新機器は無線機器本体の共有を可能にすることで、設置スペースの削減、消費電力の抑制、導入コストの大幅な低減を実現している。

JTowerは、2025年度中に日本の4大携帯通信事業者とともに相互接続試験を開始する予定であり、商用提供の開始時期は各キャリアの準備状況に応じて決定される見通しだ。

この共有型無線機器は、オープンRAN標準を活用することで、異なるメーカーの機器を柔軟に組み合わせて導入できるのが特徴で、ネットワークの拡張性と持続可能性の向上を図っている。

同社は「本機器の導入は、日本の5Gインフラ構築において重要な一歩」と述べ、4社すべての通信バンドに対応する形で開発されたことを強調した。また、AIの発展、動画配信、クラウドアプリケーションの拡大に伴う通信需要の急増に対応するため、高効率で持続可能なネットワーク展開を支援するという。

JTowerは、機器の設計から製造まで自社で一貫して行っており、日本国内のキャリアが求める高い品質基準や運用要件にも適合させている。さらに、キャリア各社と共同で機器のレビュー、試験、認証を進めており、スムーズなネットワーク統合を目指す。

今後については、フロントホールの共有といったさらなる技術革新への投資も継続する方針で、日本のデジタルエコシステムの拡充と5G全国展開の基盤を支えていくという。

なお、2024年8月には、米国の投資会社DigitalBridge GroupがJTowerに対し、約152%のプレミアムを提示する買収提案を行い、同社の企業価値は約6億3,000万ドルと評価された。

日本の通信業界では現在、人口減少や人材不足といった社会的課題に直面しながらも、山間部や災害リスク地域に加え、空、海、さらには宇宙空間までをもカバーするネットワーク構築が求められている。JTowerは、このような環境下で信頼性の高い通信インフラを維持・運用することが、今や大きな課題となっていると述べた。