【2025年版】英国不動産市場に変化の兆し、賃料上昇は鈍化傾向に。最適な賃貸物件を見つけるためのガイド

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英国の不動産市場において、住宅価格と賃料に新たな動きが見られます。最新の調査によると、住宅の売り出し価格は前年比で僅かながら下落に転じ、一方で賃料の年間上昇率は過去4年間で最も低い水準に落ち着きました。こうした市場環境の変化は、これから部屋探しを始める人々にとって重要な意味を持ちます。本記事では、最新の市場動向を解説するとともに、満足のいく物件を見つけるための不動産会社の選び方や、内見時に必ず確認すべきポイントを詳しくご紹介します。

市場の最新動向:住宅価格は下落、賃料上昇は緩やかに

英国の不動産情報サイト「Rightmove」が月曜日に発表した調査によると、今月売りに出された物件の価格は、2024年1月以来初めて前年同月比で0.1%の下落を記録しました。前月比では0.4%の上昇となりましたが、これは例年の同月の上昇幅を下回るもので、過去3ヶ月間の下落傾向を引き継ぐ形となっています。

この価格下落は、特に物件価格が高額なイングランド南部で顕著に見られます。専門家は、今後の固定資産税改正を巡る不透明感が市場心理に影響を与えている可能性を指摘しています。

一方で、賃貸市場に関する調査会社「Zoopla」のデータでは、平均賃料の年間上昇率が2.4%となり、過去4年間で最も低い伸び率を記録しました。賃貸物件の供給数が増加したことや、初めて住宅を購入する層への融資条件が改善されたことなどが、賃貸市場の競争を緩和していると分析されています。

賃貸契約における主要な関連会社

このような市場環境で理想の物件を見つけるためには、賃貸契約に関わる様々な会社の種類と役割を理解しておくことが不可欠です。物件探しから入居後の生活まで、主に以下の会社が関わってきます。

  • 仲介会社 街中の店舗で見かける不動産会社の多くがこの形態です。入居者の希望に合った物件を探し、契約手続きをサポートする役割を担います。一般的に、仲介の対価として家賃の1ヶ月分程度の仲介手数料が発生します。一つの物件を複数の仲介会社が取り扱っていることも珍しくありません。

  • ポータルサイト運営会社 様々な仲介会社が取り扱う物件情報を集約し、インターネット上で公開しているサイトの運営会社です。膨大な物件数の中から効率的に情報を収集できるため、物件探しの第一歩として利用されることが多くなっています。

  • 管理会社 物件のオーナー(大家)から委託を受け、建物の維持管理や入居者からの問い合わせ対応、家賃の回収などを行います。入居後の生活に密接に関わる存在ですが、物件ごとに管理会社は決まっているため、入居者が選ぶことはできません。

  • 保証会社 入居者が何らかの理由で家賃を支払えなくなった場合に、代わりに立て替えて支払う会社です。契約時に賃料の30%~100%程度の保証料を支払い、その後は1年ごとに更新するのが一般的です。通常、不動産会社が指定する保証会社を利用することになります。

  • 物件の所有者(オーナー) 物件を所有する個人または法人のことです。契約書では「貸主」と記載されます。管理会社が所有者を兼ねているケースもありますが、入居者がオーナーと直接やり取りすることはほとんどありません。

物件選びで後悔しないための内見の重要ポイント

気になる物件が見つかったら、契約前に必ず「内見」を行い、ご自身の目で確かめることが重要です。ここでは、失敗しないための内見時のチェックポイントを解説します。

  • 最も後悔につながりやすい「騒音」の確認 入居後のトラブルで最も多いのが騒音問題です。窓を閉めた状態で、隣室や上階からの生活音、屋外からの交通音、廊下からの足音などが聞こえないか、静かに耳を澄ませてみましょう。壁を軽く叩いてみて音が響くかどうかを確認するのも有効です。

  • 日当たりと風通しの確認 日当たりや風通しは、日々の快適さだけでなく、湿気やカビの発生にも影響します。隣接する建物の影響で日中も日が入らない、あるいは窓の配置によって空気が通りにくいといったケースもあるため、必ず確認しましょう。収納内部もチェックするとカビの有無が分かりやすいです。

  • 周辺環境や街並みの確認 内見時には物件の周辺を少し歩いてみましょう。最寄り駅からの道のりや、日常的に利用するスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの場所を確認しておくと、入居後の生活を具体的にイメージできます。

  • 建物の管理状況と雰囲気 清潔感は快適な生活の基本です。ゴミ捨て場や駐輪場、エレベーターといった共用部分が綺麗に清掃されているかを確認することで、建物の管理状況を推し量ることができます。可能であれば、他の入居者の様子も見ておくと、全体の雰囲気がつかめます。

  • ゴミ出しのルールを確認 物件によっては、24時間ゴミ出し可能な専用のゴミ捨て場が設置されている場合があります。いつでもゴミを出せるため、室内にゴミを溜める必要がなく、部屋を清潔で広く使えるという大きなメリットがあります。

  • 室内の採寸を忘れずに 内見時にはメジャーを持参し、部屋の広さだけでなく、洗濯機や冷蔵庫の設置スペース、窓のサイズなどを正確に測っておきましょう。現在使用している家具や家電が設置可能か、また新しく購入する際のサイズ選びにも役立ちます。スマートフォンで室内の写真を撮っておくと、後で家具の配置を考える際に便利です。

  • 細かな設備のチェック エアコンの型番(古い場合は消費電力を調べる)、収納の広さ、郵便ポストの施錠、インターネット回線の種類(工事の要否)、窓の開閉のスムーズさ、水道やシャワーの水圧など、細かな設備も一つひとつ確認しておくと、入居後の「こんなはずではなかった」を防ぐことができます。

最終確認:諸費用の内訳を把握する

内見を終え、物件を気に入った場合は、契約前に必ず初期費用と月々の費用の総額、そしてその詳細な内訳を仲介会社の担当者に確認しましょう。ポータルサイトに掲載されている情報だけでは、全ての費用が網羅されていない可能性もあります。想定外の出費を避けるためにも、事前に書面で明確な見積もりを提示してもらうことが重要です。