「頭がいい人」と聞くと、多くの人が記憶力や論理的思考力、抽象的な概念を扱う能力など、生まれつきの資質を思い浮かべるかもしれません。しかし、それがすべてではありません。実際には、後天的な努力によって身につけられる能力も多く存在します。
その代表的な例が、西岡壱誠氏です。彼は偏差値35という学力からスタートし、見事に東京大学へ合格しました。かつて成績が振るわなかった彼は、「一念発起」して勉強に取り組み、自らの学力を大きく伸ばしました。その経験をもとに、全国の学校で教育支援を行う「カルペ・ディエム」という会社を設立。現在は、誰でも努力次第で「東大レベルの頭の良さ」に近づけると伝える活動を続けています。
西岡氏が連載しているシリーズでは、「東大に合格できるような思考法」や「勉強術」など、実践的なノウハウが紹介されています。第67回となる今回は、「東大生が共通して持っている時間の使い方」について語られました。
東大生の遊び方にも時間意識がある
東大生と聞くと、常に机に向かって勉強しているというイメージを持たれることが多いかもしれませんが、実際には彼らも普通の学生と同じように遊びます。ゲームをしたり、一緒に外食したり、雑談を楽しむこともあります。
しかし、ひとつだけ他の学生とは明らかに異なる点があります。それが、「時間に対する厳しさ」です。
東大生たちは、ほんの少しの隙間時間も無駄にせず、きっちりと活用します。たとえば、「映画が始まるまであと20分ある」となった場合、多くの人は何となくスマホを見たりして時間をつぶすかもしれません。しかし、東大生はその20分でレポートを書いたり、本を読んだりします。短時間でも集中して何かに取り組む姿勢が習慣になっているのです。
また、「18時まで遊ぼう」と決めたら、ぴったり18時に「じゃあ時間だから、またね!」と帰るのも特徴です。たとえ会話が盛り上がっていても、ダラダラと続けることはしません。時間を守ることに対する意識の高さがうかがえます。
「今やる」と決めたら徹底的にやる
誤解してはいけないのは、「東大生は遊ばない」というわけではないことです。むしろ、遊ぶときは思いっきり遊びます。ただし、その時間を「遊びの時間」と決めた上で、全力で楽しむのです。中途半端にダラダラと過ごすのではなく、「今は遊ぶ」「今は勉強する」とメリハリをつけて行動しています。
こうした時間の使い方が、結果として無駄なエネルギーを減らし、集中力を高めることにつながっているのです。
「労力を無駄にしない」ための時間管理
なぜ、頭のいい人はそこまで時間に厳しくなるのでしょうか? その理由について、西岡氏は『ドラゴン桜』という漫画の中で、「労力を無駄にしないため」と説明しています。
限られた時間の中で成果を出すためには、無駄な行動や迷いを排除し、必要なことに集中することが求められます。だからこそ、東大生は時間の使い方を徹底的に管理し、自分の行動に意味を持たせようとしているのです。
このように、「頭がいい」とされる人たちは、生まれ持った能力だけでなく、日々の積み重ねや時間の使い方によってその力を高めています。そしてその姿勢は、誰にでも取り入れることができる習慣でもあります。
自分の時間の使い方を見直すだけでも、日常の効率や集中力は大きく変わるかもしれません。頭の良さは、才能だけではなく、「時間との向き合い方」から生まれているのです。