日産、九州での約1,100億円のEV電池工場建設計画を撤回

ビジネス

日産自動車は、電気自動車(EV)向け電池の新工場を日本の南西部・九州に建設する計画を撤回することを明らかにした。総投資額は1,533億円(約11億ドル)に上る予定だったが、同社の経営再建の一環として中止が決定された。

この計画は、今年1月に発表されたもので、福岡県北九州市にリン酸鉄リチウム(LFP)電池を製造する新工場を設立し、約500人の雇用創出が見込まれていた。政府も最大で557億円の補助金を予定しており、2028年7月以降の稼働開始、年間5ギガワット時の生産能力が目標とされていた。

日産は今回の決定について「業績回復に向けて即時の対応を講じており、あらゆる選択肢を検討している」と述べ、「投資効率を慎重に検討した結果、福岡県北九州市でのLFP電池新工場建設を中止することにした」と説明している。

さらに、日産は国内の人員削減にも踏み切る見通しだ。日本経済新聞の報道によれば、今年度中にも国内の事務部門を中心に数百人規模で早期退職の募集を開始する方針だという。日産が日本国内で早期退職を実施するのは2007年以来、実に18年ぶりとなる。当時は1,500人の削減を発表していた。

こうした動きは、先月CEOに就任したイバン・エスピノーサ氏の下で進められている経営改革の一環だ。同社はすでにグローバルで9,000人の人員削減と生産能力の20%削減を公表しており、複数の工場閉鎖も視野に入れている。

経営面では、日産は2024年度決算で過去最大となる7,000億〜7,500億円(約48億〜51億ドル)の最終赤字を見込んでおり、その主因として減損損失を挙げている。

日産にとって今回の決定は、国内市場における事業拡大の見直しを意味するものであり、世界的な電動化の流れの中で、今後の戦略転換に注目が集まっている。