メッツがフィリーズとのナ・リーグ地区シリーズ第3戦において7-2で快勝し、リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)進出に王手をかけた。本拠地シティフィールドで行われたこの一戦、メッツ打線は序盤から効果的に得点を重ねた。2回、今季34本塁打を記録している4番アロンソがシリーズ第3号となるソロ本塁打を放ち先制に成功。続く4回には6番ウィンカーにも一発が飛び出し、着実に追加点を挙げた。
相手先発ノラが5回で降板した後も、メッツ打線の勢いは止まらなかった。フィリーズ救援陣を攻め立て、6回には2死満塁の好機で7番マルテが中前へ2点適時打を放つ。さらに7回、再び訪れた2死満塁の場面で5番イグレシアスが中前打で2者を迎え入れ、試合を決定づけた。守っては先発左腕マナイアが7回を3安打1失点に抑える好投を見せ、投打が見事にかみ合った完勝劇となった。
【「バトンをつなぐ」チームの結束力】
8回に適時打を放ったリードオフマンのリンドアは、試合後のインタビューでチームの結束力を強調した。2死から計6点を奪った攻撃について、「みんなが『バトンをつなぐ』という強い気持ちで打席に立っている」と語り、勝利の喜びを噛み締めつつも「素晴らしい瞬間だが、このまま必死に頑張るしかない」と気を引き締めた。
レギュラーシーズンでは同地区のフィリーズに6ゲーム差をつけられ3位に終わったメッツだが、ワイルドカードシリーズではその勢いのままブリュワーズを撃破。今回の一勝で、9年ぶりとなるリーグ優勝決定シリーズ進出まであと1勝に迫っている。
【有望株ディラン・ロスの現在地と2026年シーズンへの課題】
チームがポストシーズンで躍動する一方、来季以降を見据えた戦力構想、特に若手投手の起用を巡る競争も激化している。すでに40人のロースター枠に入っているリリーフ投手のディラン・ロスは、2026年シーズンの開幕メンバー入りが期待されていた一人だ。しかし、その道のりは決して平坦ではない。トビアス・マイヤーズやルイス・ガルシアといった新戦力の台頭により、ロスは序列を下げざるを得ない状況に立たされている。
現在、メッツの先発ローテーションには6名の投手が名を連ねており、ここにマイヤーズは含まれていない。マイヤーズとフラスカル・ブラゾバンは共にマイナー降格が可能(オプションあり)な選手だが、両者をロングリリーフとして起用するのは戦力的に重複する可能性がある。ブラゾバンは長くても3回程度が限界であるのに対し、先発経験のあるマイヤーズは5回を投げ切る能力があるためだ。
【制球難の克服と昇格へのシナリオ】
では、ロスにチャンスは残されているのか。昨季、彼は3Aで32回を投げ防御率1.69という素晴らしい数字を残しており、その実力が通用することは証明済みだ。課題は明確で、安定してストライクを取れるかどうかにある。昨季は22四球を与えており、9イニングあたりの与四球率(BB/9)は6.2に達した。この「剛速球だが制球に難あり」という典型的な課題が、2025年シーズン終盤の重要な局面での昇格を阻む要因となった。チームは彼を試すことなくシーズンを終えたが、その結果、高圧的な場面で彼が何ができるかを確認する機会を逸してしまったとも言える。
それでも、ロスがキャンプを経てメッツの開幕ロースター入りを果たす道は閉ざされていない。ブラゾバンやマイヤーズと枠を争うことになるが、仮にチームが先発投手を減らす判断をすれば、ブルペンの一角に食い込む有力候補となる。また、故障者の代替要員として昇格する可能性も十分に考えられる。現在40人枠にいる他の右腕リリーフ(アレックス・カリーヨ、オースティン・ウォーレン、ジョーイ・ガーバー)と比較しても、ロスの潜在能力はずば抜けて魅力的だ。
さらに、クレイグ・キンブレルのような招待選手たちの動向も絡んでくる。彼らの多くは契約にオプトアウト条項を含んでおり、メジャー契約に至らなければ他球団への移籍を選ぶ可能性が高い。シラキュース(傘下マイナー)での調整を望まないベテランもいるだろう。
ロスが開幕を一軍で迎えることは不可能ではないものの、故障者の発生や、スプリングトレーニングでの圧倒的なパフォーマンスが必要条件となりそうだ。球団がトレードでさらなるリリーフ補強を行う可能性も残る中、彼がその厚い選手層の壁を突き破れるか、今後の成長とアピールが注目される。