米価格の高騰で日本が戦略備蓄を活用へ

日本

日本政府は、記録的な米価格の高騰に対応するため、国家備蓄米の活用を容易にする方針を打ち出した。

戦略備蓄米の放出基準を緩和

政府は、史上初めて戦略備蓄米の放出基準を緩和することを決定した。これは、急騰する米価格によるインフレ圧力を抑え、消費者の供給不安を和らげる狙いがある。

戦略備蓄制度は30年前に導入され、主に自然災害や作柄不良時の食糧安定供給を目的としている。直近では、2011年の東日本大震災と福島原発事故の際に活用された。

価格上昇の背景

しかし、昨今の米価格の上昇により、供給不足への懸念が再燃している。政府の統計によると、昨年の国内米価格は60kgあたり平均23,715円(約153ドル)に達し、2023年の平均を55%も上回った。12月には24,665円に達し、さらに上昇傾向が続いている。

2023年の不作に加え、外食産業や家庭による買い占め、休耕を促す農業補助金制度の影響で、昨年の夏には1995年以来最悪の米不足が発生した。スーパーマーケットの棚は空になり、多くの店舗が1人あたり5kgの購入制限を設ける事態となった。

政府の対応

こうした状況を受け、農林水産省は金曜日、戦略備蓄米の放出基準に「主食用米の円滑な流通が妨げられ、農水省が必要と判断した場合」に備蓄米を活用できる条項を追加することを決定した。

江藤拓農林水産大臣は記者会見で、「国内には十分な米があるが、市場に流通していない。どこかに滞留しているのではないか」と懸念を示した。

流通業者の動きと金融政策の影響

米市場の専門家の間では、卸売業者が価格上昇を見越して供給を絞り、デフレ後の価格転嫁が容易な状況を利用しているとの指摘もある。

先週、日本銀行が17年ぶりに政策金利を引き上げた際、発表された経済見通しの中で米価格が複数回言及された。12月の消費者物価指数(CPI)は3.6%と、変動の激しい生鮮食品とエネルギー価格を含めても高水準となった。

企業への影響

国内最大のコンビニチェーンであるセブンイレブンは今週、米を使った37商品について価格を引き上げたことを発表した。特に、日本の消費者に人気のあるおにぎりは、20%の値上げとなった。

また、帝国データバンクの調査によると、日本の国民食ともいえるカレーライスの材料費は昨年11月に過去最高の377円に達し、前年同月の316円を大幅に上回った。

政策の課題

国内の米価格を抑制することは容易ではない。日本は食品の多くを輸入に依存しているが、米に関しては自給率が高く、輸入を厳しく制限することで国内価格を維持している。また、農業政策として農家を保護するために生産量の抑制が奨励されている。

今回の備蓄米放出のルール変更に伴い、政府は市場への影響を最小限に抑えるため、放出した米と同量を1年以内に買い戻す方針を打ち出した。