障害者の性・セックスに関する悩みまとめ:性介護の現状と問題点とは

体に障害がある人も内臓などに問題がなければ、健常者と同じように性欲はあります。

セックスは挿入だけが全てではありません。愛し合う2人が仲良くできる方法であれば、障害者もセックスを楽しむことは可能でしょう。

しかし、健常者のように体が思うように動かなかったり、満足に性欲を発散させることができないという点において、ストレスが溜まりやすいのも現状です。

この記事ではタブー視されがちな障害者の性・セックスの悩み、そして性介護の現状についてご紹介します。

障害の種類からみる性・セックスの悩み


人間の生理的な三大欲求は、食欲、睡眠欲、性欲です。性欲には男女、または同性の間に生じる性交への欲求も含まれます。

人の心や体の状態もさまざまなので、セックスの方法にも多様性が求めらるでしょう。

大きく分けて障害には身体障害、知的障害、精神障害の3つがあります。それぞれどのような問題があるのかをみていきましょう。

身体障害者の場合

先天的な場合も後天的な場合も、 身体の不自由さから考えてセックスもオナニーも自力だけで性欲を満たすことはほぼ不可能です。

なかでも脊髄損傷は女性にも男性にも性機能障害を引き起こし、 セックスを困難にすることがあります。

女性においては性機能障害だけでなく、妊娠・分娩にも悪影響を与えることがあるため治療も難しいようです。

また、妊娠時の加重による問題や出産のリスクもあるため、脊髄損傷による性機能障害を思い悩む女性が多いことも分かってきました。

知的障害者の場合

男性の場合、むげに性に興味を向けすぎると看護師への性的行動に発展するなど、大変なことになりかねません。

障害施設の看護師、医師に相談するのが良いでしょう。

男性の場合マスターベーションを覚えさせるとともに、オナニー用のグッズを与える場合もあります。

特に知的障害を持つ人には物事に固執する事例が多々あるため、配慮が必要です。

精神障害者の場合

精神障害のなかでも強迫性障害の人は、不潔を恐れています。

恋人とセックスも、キスもできません。抱き合うことも、お風呂に入っていないという理由で嫌がります。

これは強迫性障害の症状のためであって、相手を嫌っているわけではないので理解してあげることが大切です。

具体的な性・セックスの悩み

悩み1:体位に限界がある

障害者にとってセックスは、体位によって苦痛なこともあるようです。

脚の障害の場合、脚を開くと痛みが出るなど行える体位が限られます。

それゆえに相手に我慢させているのでは、と悩んでしまうこともあるそうです。

悩み2:相手が満足しているか不安

健常者に比べて、受け身も攻めにも限界があるので、やりたい気持ちはあっても身体がついていかない場合もあります。

そのため、相手がこのセックスに満足しているのかと不安になってしまうこともあるでしょう。

しかし、大好きな相手とは、抱き合っているだけで気持ちがいいものです。相手を気持ちよくさせたい、という気持ちは必ず伝わるものではないでしょうか。

悩み3:風俗店は利用できない

セックスボランティアのほとんどの団体が身体障害者向けで、知的障害者・精神障害者の利用は断っているところがほとんどです。

そうなると、知的障害者や精神障害者は一般の風俗店を利用するしかありません。

風俗店の店長やスタッフに聞いてみると、表には出さなくても、実際は内規で障害者の利用を拒否するような決まりになっていることもあるそうです。

悩み4:ストレスが半端ない

性欲が高まった場合に、母親らに性器を刺激してもらって射精させてもらう場合もあるそうです。

性欲というのは誰もが持っているものの、男性なら妻以外の家族には本当は触れられたくありません。

それを母親らに任せるということは、大きなストレスや屈辱を伴います。

射精しても、そこには純粋な快感などなく、たまったものを排出する掃除のような感覚なのかもしれません。

悩み5:セックスは置いてけぼり

セックスは食事や排泄のようにしなければ死んでしまう、というものではありませんが、多くの人が必要としています。

法的な支援はないまでも、車いすバスケなど、娯楽といわれるものに対しての支援をする人はいますが、セックスに関しては、法的な支援がなく置いてけぼりになっている状態です。

セックスも、位置づけはそれらと同じではないでしょうか。

性介護の現状


このように、性・セックスに対するさまざまな悩み・問題があるのですが、それらを解消するための「性介護(セックスボランティア)」というものも普及し始めました。

とはいうものの、まだまだ認知が高くなく誤解もされがちです。最後に性介護の現状についてご紹介します。

現状1:性の介護は不必要とされる

性の問題は自分自身で解決することであり、性的介助は職員がすることではない、という考えの人も多いようです。

現状は介護者個々の考えに委ねられており、一方で、介護者の中には障害者とお付き合いする人もいます。

そういった人も自分のパートナーの性とは向き合えますが、他の障害者の性と向き合うのはなかなかむずかしいようです。

現状2:介護学校で性のカリキュラムがない

そもそも介護者を育てる介護学校には、性の問題についてのカリキュラムがありません。なので、障害者が性のことで悩んでいるということに考えが及びません。

そのため介護の現場に入って、実際に性の問題と向き合ったときに、嫌悪感を持ってしまいます。

性の問題について学んでこなかったのですから、戸惑いがあっても仕方ありません。

現状3:女性に対してのケアが分からない

女性障害者にどのような人がいて、どのようなニーズや悩みを抱えているか、まったく分からないのが現状です。

男性のケアをしているのだから、女性にもケアをすべきという発想にとどまっているに過ぎません。

女性の場合、射精という分かりやすい基準のある男性と異なり、何をどこまで、どのようになど、とても曖昧です。

デリケートな問題だけに女性障害者からニーズに答えるのはむずかしい状況と言えます。

現状4:世間体

自分で稼いでもいないのに、国の税金をそんなことに使うなんてと思う人もいるのでしょう。

衣食住の援助ですら理解されないこともあり、性的介助までしてもらっていいのかという世間の目は問題です。

介護者も、後ろ指を指されたくないという思いもあって、自分の動きをさらに秘密にしてしまいます。

それがニーズや実例が表に出てこない現状を作り、障害者の性の介護は社会的に認知されにくくなっているのかもしれません。

まとめ

まだまだ障害者の性について誤解が多いのが現状です。

実際に家族や恋人が障害者であるということがなければ考える機会がないかもしれません。

しかし、「自分には関係ない」と問題を無かったことにするのではなく、誰もが障害者の性に対する知識を得て、誤解を解いていくことが必要でしょう。

ライター